社会のグローバル化が進み、英語でのコミュニケーション力がますます重要視されています。このような中、高校卒業後の進路として、海外留学にチャレンジしてみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、海外留学に興味がある高校生に向けて、海外留学のメリットとデメリットについて詳しく解説します。留学を成功させるためにやるべきことや、必要な心構えについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
海外留学の種類
海外留学には、目的や期間に応じた様々な種類があります。ここでは、主な海外留学の種類について紹介します。
語学留学
語学留学は海外の語学学校に通って、英語習得を目指す留学です。
主に私立の語学学校と大学附属の語学学校があり、留学する時期や期間を比較的自由に選択できます。
自分のレベルに合った授業を受けられるため、英語が話せない初心者でも挑戦しやすい留学スタイルです。
正規留学
正規留学は、海外の大学に正式に入学し、日本の大学に通う場合と同じように学士号や修士号などの学位取得を目的とする留学です。
入学するためには英語力(TOEFLやIELTSなどのスコア)や高校の成績、その他申請書類などが必要で、日本の大学より入りやすい場合が多いです。
正規留学は、英語そのものを学ぶのではなく、英語を使って専門分野を学ぶことを目的としているため、高い英語力が必要です。
また、留学先の国や大学によっては、入学よりも卒業の方が難しい場合もあります。
2年生大学(コミュニティカレッジ)への留学
コミュニティカレッジとは、アメリカやカナダなどで多く見られる、公立の2年制大学のことです。
授業料の安さと多様なプログラムが特徴で、高校卒業程度の学力があれば入学できます。
学費は州立の4年制大学の1/2〜1/3程度と安く設定されており、卒業後は4年制大学の3年生に編入することも可能です。
最初の2年間の学費を抑えながら4年制大学の卒業を目指す学生に、人気の選択肢になっています。
専門留学
専門留学は、英語を学ぶ語学留学と違い、専門的な分野における知識や言葉を英語で学ぶ留学です。
英語で専門的な分野を学ぶため、高い英語力が必要です。
習得するスキルや資格、学位次第では将来的に海外就職に繋がる可能性もあり、スキルやキャリアアップを目指す社会人や、帰国後の就職活動に活かしたいと考える大学生に人気があります。
交換留学
交換留学は、在学中の大学が提携している海外の大学へ留学するプログラムです。
短期から長期まで、大学によってさまざまな留学プログラムがあり、在学中の大学の学費を通常通り支払うだけで、追加の学費がかからないのが一般的です。
留学するためには、在学中の大学と留学先の大学の審査を通過する必要があり、難易度が高いのが特徴です。
留学先の大学で取得した単位は、在籍大学の卒業必要単位として認定されるため、通常の修業年数で卒業可能です。
海外留学のメリット
海外留学には、英語力向上や異文化理解にとどまらず、多くのメリットがあります。ここでは、4つのメリットについて詳しく解説します。
英語漬けで英語力が向上する
留学先では、24時間英語しか使えない環境で生活を送ることになります。常に英語に触れながら、教室での学びをすぐに日常生活でアウトプットできるため、効率良く英語力が身につきます。
また、現地の人との交流の中で、ネイティブが話す生きた英語も学ぶことができます。
ネイティブが話す英語には、教室では習わないけれど頻繁に使うフレーズや表現が多くあります。海外留学は、日本では学ぶことのできない英語が学べる、貴重な機会になるでしょう。
異文化理解で価値観が広がる
異文化理解は、国際的な視野を広げる上で欠かせない要素です。
留学先で異なる価値観や習慣を持つ人々と接する中で、日本で経験してきた当たり前のことが、海外では通用しないことがよくあります。このような経験が、自分の価値観を見直すきっかけになり、柔軟な思考力と適応力が身についていきます。
また、異文化理解は日本についての再認識にもなります。日本と他国との文化や価値観の違いを実感することで、自分のアイデンティティについて考えるきっかけになります。
海外留学は英語習得だけでなく、異文化理解や国際的な視野を広げることができ、総合的な成長が期待できます。
就職活動でプラスになる
留学を通して得た知識や価値観の広がりによって、将来の選択肢の幅が大きく広がります。
海外での就職や、日本企業の国際事業に携わるなど、国際的な視野でキャリアビジョンを描けます。
留学中は、自分の意思や考えを英語で明確に表現しなければならない場面が多く、言語化能力が鍛えられます。このスキルは、就職活動での自己アピールにも大いに役立ちます。
【アピールポイントの例】
行動力:留学を決意し、目標を立てて実行した積極性
適応力:慣れない環境での問題解決能力
忍耐力:困難な状況でもやりきる力
コミュニケーション力:異なる文化環境での円滑なコミュニケーション能力
自信が付く
英語でのコミュニケーション力の上達は、日々の学習の成果が実感でき、大きな自信につながります。
また、異文化の中での生活は毎日が挑戦の連続で、それらを乗り越えることで、自分の適応力や問題解決力に自信が持てるようになります。多様な文化や価値観を理解することで、自分の考え方にも自信が生まれ、自己肯定感が高まります。
このように、海外留学での挑戦と成功体験の積み重ねが大きな自信になり、将来のキャリアアップの原動力になります。
海外留学のデメリット
経済的負担が大きい
海外留学の費用は、選択する学校や滞在方法、そして留学先の都市によって大きく変動します。
アメリカ、カナダ、イギリスなどの人気の留学先の費用は、日本の大学に通う場合(※1)と比較して経済的負担が大きい傾向にあります。
【人気留学先の1年間の留学費用の目安】
アメリカ・・・約270〜620万円
カナダ・・・約270〜630万円
イギリス・・・約330〜690万円
オーストラリア・・・約250~500万円
フィリピン・・・約220~450万円
※1:日本の4年制私立大学(文系)に通う場合、学費と一人暮らしの費用を合わせた平均額は、1年あたり約250万円です。
留学費用を抑えたい場合は、滞在方法や留学先の都市を慎重に選ぶことが重要です。また、長期留学の場合は、学校によっては授業料割引制度が利用できることがあるので、確認してみると良いでしょう。
慣れない海外生活のストレス
海外では食事や気候、住居環境が日本と大きく異なるため、慣れるまでにストレスを感じることがあります。
また、日常会話や授業で自分の意見や感情をうまく伝えられず言葉の壁にぶつかったり、孤独感やフラストレーションを感じることもあるでしょう。
このような場合は、失敗を気にせず、完璧でなくても良いと考えることが大切です。海外での経験を新しい挑戦として楽しむことで、気持ちが楽になります。
就職活動が制限される
海外留学中の就職活動はオンライン中心になるため、企業の採用イベントに参加する機会や入手できる情報が限られる場合があります。
また、海外の大学を卒業する場合、日本の大学と卒業時期が異なるため、就職活動のスケジュールにもずれが生じます。
例えば、アメリカの大学を卒業した場合、帰国時期は一般的に5~6月になります。一方で、日本企業の新卒採用スケジュールは、3月から説明会が始まり、6月から選考(内定)がスタートするため、留学生は就職活動のタイミングが合わない可能性があります。
一時帰国時や卒業後に効率よく活動できるよう、留学中から準備を進めておくことが重要です。
海外留学を成功させるためにやるべきこと
ここでは、海外留学を成功させ、自分の強みにするためにやるべきことを紹介します。
せっかくの経験を無駄にしないために、留学に興味がある人にぜひ知っておいてほしいポイントです。
明確な目的とゴールを設定する
海外留学を成功させるためには、留学することを目的にするのではなく、「留学を通して、何のために、何ができるようになりたいか」といった、目的とゴールを明確にする必要があります。
例えば、「欧米圏で日本語教師として働くため、1年でTOEICのスコアを700まで伸ばす」
「海外マーケティングの仕事に就くために、〇〇大学でマーケティングを学び、4年で学位を取得する」など、留学期間内で達成可能なゴールを設定することが重要です。無理のない目的を定めることで、挫折せずにモチベーションを保って取り組めます。
失敗を恐れず積極的に英語を使う
語学留学に限らず、海外で専門分野を学ぶ場合も、英語力の向上が留学の成果に大きく影響します。
英語力を効率良く向上させるためには、留学を「英語を使う場」として意識することが大切です。留学を「英語を使う場」と意識することで、積極的にコミュニケーションが取りやすくなり、実践的な英語学習につながります。
海外では、英語を母国語としない人々が、多少の間違いを気にせずに、積極的に英語を使います。英語をコミュニケーションツールの一つとして気楽に捉え、失敗を恐れずに使うことが、英語力向上に大きな効果をもたらします。
事前準備を入念に行う
海外留学を成功させるためには、授業が理解できる程度の英語力を、留学前に身につけておくことが必須です。留学の種類によっては、高度な英語力が必要な場合もあり、早期から準備を始める必要があります。
また、現地の人々とのコミュニケーションも、留学をより充実させるための重要な要素です。コミュニケーションがスムーズにとれるように、準備しておくと良いでしょう。
具体的には、日本文化を英語で紹介できるように勉強しておいたり、留学先や世界のニュースについて常にアンテナを張っておくなど、留学先での活動を具体的にイメージして準備することが効果的です。
就職活動を意識した行動をとる
企業は、留学をした事実よりも、留学を通して学んだことや経験したことを重視します。留学中は、「留学中に学んだことを活かして、企業にどのように貢献できるか」を論理的にアピールできるよう、意識しながら行動することが重要です。
また、留学先や近隣国を旅行して様々な体験をしたり、ボランティア活動を通して地域のコミュニティで交流を深めるなど、留学中にしかできない体験を積極的にしておくことも大切です。こうした留学中の経験と積極的な姿勢が、就職活動においてもプラスになるでしょう。
留学経験を振り返り、整理する
帰国後は留学経験を振り返り、学んだことや自分の成長を確認します。
この振り返りは、自分の成長を確認し、留学経験を将来のキャリアや個人の成長に活かす上で、非常に重要なプロセスです。
【振り返る内容の具体例】
・ 目的、準備、期待していたこと
・ 直面した課題、取り組んだこと、印象的な出来事
・ 得られた成果、変化、新たな目標
留学中に学んだことや得たスキルをもとに、次のステップの目標を設定することで、さらなる成長が期待できます。
海外留学はキャリアアップにつながる貴重な財産
本記事では、海外留学のメリットとデメリットについて詳しく解説しました。
海外留学には、語学力向上や異文化理解、自己肯定感の向上など多くのメリットがあります。
一方で、言葉の壁や慣れない生活によるストレスなどのデメリットもありますが、事前の準備や、目的意識を明確にすることで克服できます。
海外留学を成功させるためには、自分の目標を明確にし、それを達成するための心構えを持つことが重要です。これらを意識することで、海外留学は人間的な成長や将来のキャリアアップにつながる、貴重な財産になるでしょう。