「TOEICで何点を取ればキャリアアップに繋がるのだろう?」「高スコアを目指すためにはどう勉強すれば良いのか。」そう思っている方も多いはずです。就職活動やキャリアアップを目指す中で、TOEICスコアは重要な指標となります。しかし、自分に必要なスコアを設定し、どのように達成すれば良いのか迷うこともありますよね。
この記事では、TOEICスコアの評価基準を解説し、「すごい」と評価されるスコアやその理由、スコアアップのための効果的な学習戦略を詳しく紹介します。
本記事で学べる内容
- TOEICスコアを基にしたレベル分けと評価基準
- 「すごい」と評価されるTOEICスコアとその理由
- スコア別に取り組むべき学習戦略と効率的な勉強法
最後までお読みいただき、TOEICスコアを武器に新たなキャリアの可能性を切り開くきっかけにしてください。
TOEICとは?
TOEIC(Test of English for International Communication)は、英語を使ったコミュニケーション能力を測る国際的な試験です。ビジネスでの実用性に重点を置き、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能を評価します。
TOEICの2つの試験形式を理解する
TOEICには英語を「理解する力」を評価するListening & Reading(L&R)と、英語を「使う力」を評価するSpeaking & Writing(S&W)の2つの形式があります。
TOEIC Listening & Reading(L&R)の特徴
TOEIC L&Rは、英語の「聞く力」と「読む力」を測定する試験です。この形式は、日本企業での評価指標として広く活用されています。スコア範囲は以下の通りです。
- Listening: 5点〜495点
- Reading: 5点〜495点
- 合計スコア: 10点〜990点
L&Rのスコアは、ビジネスメールや報告書の読解、会議でのリスニングスキルなど、英語を「理解する能力」が求められる職場で特に重視されます。
TOEIC Speaking & Writing(S&W)の特徴
一方、TOEIC S&Wは、英語を「話す力」と「書く力」を測定します。この形式では、即興で意見を述べる能力や、論理的で正確な英文を書く能力が求められます。スコア範囲は以下の通りです。
- Speaking: 0点〜200点
- Writing: 0点〜200点
- 合計スコア: 0点〜400点
S&Wの試験結果は、グローバルな企業や国際的なプロジェクトで重視される傾向があります。
日本企業ではL&Rが中心
日本企業ではリスニングやリーディングスキルが、業務において必要とされることが多いため、TOEIC L&Rが広く活用されています。
そこで、この記事ではL&Rを中心に、そのスコアがどのように評価され、キャリア形成に役立つかを解説していきます。
TOEICスコアとCEFR
TOEICスコアとCEFRとの関連性を理解することで、TOEICスコアの位置づけをより明確に把握できるでしょう。
CEFRとは
CEFRは、言語運用能力を評価する国際的な基準で、A1(初級)からC2(熟練)までの6段階に分類されます。「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能で、学習者の言語レベルを統一的に評価する枠組みです。英語だけでなく多言語に対応しており、教育や資格試験、ビジネスシーンで広く活用されています。
TOEICスコアとCEFRのマッピングについて
TOEICスコアは、CEFRに基づいて以下のようにマッピングされています。*1
A1 | A2 | B1 | B2 | C1 | C2 | |
Listening | 60 | 110 | 275 | 400 | 490 | 設定なし |
Reading | 60 | 115 | 275 | 385 | 455 | 設定なし |
Speaking | 50 | 90 | 120 | 160 | 180 | 設定なし |
Writing | 30 | 70 | 120 | 150 | 180 | 設定なし |
A1 (初級)
- 短いフレーズや簡単な表現を使用して、基本的な要求を満たすことができる。
- 自己紹介や基本的な情報交換が可能だが、相手のサポートが必要。
- 語彙や文法の知識は限定的で、基本的な反復パターンに依存する。
A2 (基礎)
- 身近な話題に関する短い文やよく使われる表現を理解し、簡単な情報交換ができる。
- 家族、買い物、地元の地理、仕事に関する内容を把握できる。
- 基本的な接続詞(and, but, because)を使用して、自分や周囲を簡単に説明可能。
B1 (中級)
- 明確で標準的な内容を理解し、日常的な話題について一定の長さの文章を作成できる。
- 短い物語や自身の経験、計画について理由や説明を添えて表現可能。
- 旅行先や日常業務で直面するほとんどの状況を処理できる。
B2 (上級)
- 抽象的・専門的なトピックを含む複雑なテキストを理解し、主なアイデアを把握。
- 流暢に会話を進められ、ネイティブスピーカーとも円滑に意思疎通が可能。
- 詳細で構造的な文章を作成し、自分の視点を支持する根拠を提供できる。
C1 (高度)
- 要求が高い内容や暗示的な意味を含むテキストを理解。
- 流暢で即時に表現でき、正式・非公式な場面で柔軟に言語を使用可能。
- 複雑なトピックについて詳細で構造的な内容を作成できる。
C2 (熟達)
- 聞いたり読んだりした内容をほぼすべて正確に理解できる。
- 自然なスタイルで滑らかに流れるテキストを作成し、微妙な意味の違いも正確に伝えられる。
- あらゆるトピックで詳細で洗練された議論や記述を行うことが可能
なお、TOEICスコアにC2が設定されていない理由として、試験設計上、C2レベルに求められる高度な能力を十分に測定することが困難であると判断されたためです。また、C2レベルに適したスコアの設定について合意が得られなかった点も理由の一つです。
TOEICですごいと言われるライン
TOEIC L&R(Listening & Reading)において評価される点数は、場面や状況により異なりますが、CEFR基準でB2以上に該当するスコア、つまり785点以上だと「すごい」と言われることが多いでしょう。
TOEICスコアにおける高得点者の割合
(一財)国際ビジネスコミュニケーション協会が発表した2023年度のデータによるとTOEIC L&Rのスコアが795点以上は約16.2%、895点以上は約4.4%と少数であることがわかります*2。
企業が求めるTOEICスコアの基準
企業によって求めるTOEICスコアは異なりますが、一例として以下のような基準をご紹介します。
- 550点以上: 採用の最低基準として設定されていることが多い。
- 730点以上: 総合商社や外資系企業などで求められることが多く、実務での英語使用が想定されるポジションでの基準。
- 800点以上: グローバル企業で高く評価されるスコア。
- 900点以上: 高度な英語力を必要とするポジションや、海外駐在員の候補として考慮されることが多い。
TOEICスコアを活用した効果的な学習戦略
TOEICスコアを効率的に伸ばすためには、自分のスコア帯に合った勉強をすることが重要です。
120〜545点向け: 英語の基礎を固める方法
このスコア帯の方は、基礎をしっかり固めることで、スコアを飛躍的に伸ばす土台を作りましょう。
語彙力の習得
英語学習の第一歩として、頻出単語や日常会話で使われる基本的な語彙を覚えることが必要です。単語帳やアプリを活用し、毎日少しずつでも覚える習慣をつけましょう。
文法の基礎をマスター
中学レベルの基本的な文法を復習し、確実に理解することが重要です。時制、受動態、疑問文などはTOEICでも頻出のため、重点的に学びましょう。
リスニングとリーディングの基礎練習
短い文章やゆっくり話される音声を使い、正確に意味を理解する練習を行います。TOEIC Part 1・2(写真描写・応答問題)のような簡単なセクションから始めると良いでしょう。
550〜780点向け: 実用的なスキルを伸ばす方法
このスコア帯では、TOEICの中級セクションで求められるリスニング力とリーディング力を強化することが重要です。
リスニングスキルの向上
TOEIC Part 3・4(会話・長文リスニング)を中心に練習し、話者の意図や文脈を正確に理解できるようにしましょう。
応用的な文法力の習得
仮定法や分詞構文、関係代名詞といった応用的な文法を習得し、TOEICの文法問題での得点力を上げましょう。
長文読解の練習
読解問題を解く際、文書全体の構造を把握するスキルを磨くことが大切です。複数文書問題への対応力を身につけるため、文章の要点をつかむ練習を繰り返しましょう。
785〜990点向け: 高度なスキルを磨く学習戦略
このスコア帯では、既に高い英語力を持っているため、さらに精度を高め、実務的なスキルを磨く段階に入ります。
リスニングでの細部理解
TOEIC Part 3・4の会話内容を聞き取り、話者の意図や背景情報を読み取る力を強化します。推測問題やニュアンスを問う問題に対応できる力をつけましょう。
速読と精読のバランス
長文を短時間で正確に読み解くスピードリーディング力を強化しつつ、難しい文章をじっくり分析する精読スキルも磨きます。これにより、複雑な問題に対応できる力をつけましょう。
TOEICスコアが切り開くキャリアと未来
TOEICスコアは、英語力を客観的に証明し、キャリアの選択肢を広げる重要な指標です。
高得点を取ることで、仕事や学びのチャンスが大きく広がります。ただ、まず大事なのは、今の自分の実力をしっかり把握して、小さな目標を一つずつ達成することです。その積み重ねがスコアアップだけでなく、自分自身の成長や新しい未来への扉を開いてくれるはずです。少しずつでも続けることで、未来の可能性が広がっていくでしょう。
参考資料
Richard J. Tannenbaum and E. Caroline Wylie ETS, Princeton, NJ
*2:https://www.iibc-global.org/toeic/official_data.html